近年、毎年のように、世界中の何処かで、大きな山火事や洪水等が発生していることは、皆様、報道等で良くご存知かと思います。また、世界中の高い山岳地帯で、毎年、氷河が融解して大きく後退し、グリーンランドや南極等の氷床も溶け出して、海水面が上昇していることが知られています(日本の沿岸では、平均海面が、約4mm/年、上昇していることが観測されています)。
これらは、地球が温暖化している証拠だと考えられますが、皆様は、夏に耐えがたい暑さと戦いながら、これらのことによって、地球の未来に悲観的になっておられる方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、地中深くから湧き出る湧水や、井戸から汲み上げた水は、外気が熱くても冷たいままであることを実感している方もおられると思います。また、地球の表面積の70%を占める海の平均水深は、約4000mあるとされていますが、その底に近い海水温は、0℃近くのまま変化していないことが知られています。
では何故、地球温暖化は進行しているのでしょうか?
私達は、周りが空気である大気の中で生活しておりますが、人類の活動によって直接的、間接的に、大気に供給された熱によって、大気は陸や海に比べて、一番比熱が小さいため、暖まりやすいことがあると考えられます。また、陸の表面近くや海の表層部分を除いて、陸や海は、殆ど温かくなっていないと予想されます。従って、地球温暖化は、気温(大気の温度)の上昇が著しく現れる「大気温暖化」と言えるかもしれません。
前述しておりますように、海洋は、地球の表面積の約70%を占め、平均水深は約4000mもあるとされています。然も海水は地球上で最も比熱の大きな物質であり、海洋全体では、大気圏の1000倍以上の圧倒的な熱容量があり、地球の気温に支配的な影響を及ぼしていると考えられます。
・大気の温度が海面より低い場合
海面で接触した大気と海水で熱交換が行われ、大気は暖かくなって上昇し、海水は冷やされて重くなり沈降するため、海面では常に新しい海水と大気が接触して、活発に熱交換が行われています。(氷の少なくなった北極圏や南極圏で温暖化が加速しているのはこの為と考えられます)
・大気の温度が海面より高い場合
海面で接触した大気と海水で熱交換が行われ、大気は冷やされて重くなり、海水は温められて軽くなるため、風や波が無ければ、両方とも、海面に張り付いて動かなくなり、この状態から抜け出すのは、大気は海面からの蒸発で水分量を増して軽くなった時に上昇し、海水は蒸発熱によって冷やされ、直下の海水より重くなった時は沈降し、海面で入れ替わって大気と海水との熱交換が続くことになります。これは、このような実験をご覧になられた方もおられるのではないかと思いますが、ボールのような容器に水を張り、水面からバーナー等の炎でいくら熱しても、決して容器の水は沸騰せず、水面から下の水も殆ど温まらないのと同じような現象が起こっていると考えれば理解し易いと思います。
この為、海面での大気との熱交換は緩慢になり、冷え難いと言えます。この時上昇した大気は、温度が高い程水分量が多く、後に低気圧となり、気象災害を発生させ易くなります。
”地球温暖化を解消する”などと言えば、大それた戯言に聞こえるかもしれません。
しかし、前項の内容が正しければ、温暖化しているのは大気と陸地の表面に近い部分、及び海洋の表層部分になります。海洋は、前項のように、大気圏の1000倍以上の熱容量を持っておりますので、表層部分を除いても、大気圏の気温を下げるのに十分な熱量を保有していることになります。因みに、全海水で全大気を冷やすことができれば、気温を1.5℃下げても、海洋は平均1.5/1000℃(0.0015℃)以下の温度上昇しか招かないことになります。
石炭を使用した産業革命が起こって、260年程になりますが、現在までに1.5℃程の気温上昇が観測されています。今後も同様のペースで温暖化が進むとしましても、海洋の平均海水温の上昇を1℃許容するだけで、計算上(1℃/0.0015℃≒667)では、産業革命から現在までの、667倍の期間(温暖化が加速することを考慮にいれても、少なくとも数万年は)、大気の熱を海洋に吸収させて、温暖化を防げることになります。
科学技術は、先人達のお蔭で、現在では高度なものが有ります。大気中の熱を、海洋に吸収させることは、然程難しいことではないのではないでしょうか。
以上のような認識の基に、私達は3年程前から、地球温暖化を解消するため、特許を取得し、「海面冷却プロジェクト」の取り組みを初め、実証実験を開始しております。
具体的な方法は(詳細は特許広報(特許第6750170号)をご参照ください)、波が乗り上げ易い形状のフロートを海面に浮かべ、波が乗り上げて上部に溜まった海水を、垂下させたホースで深海に拡散させる、単純な構造の装置です。
これは、暖かい大気との熱交換によるものや、太陽で温められ海面に上昇した、暖かい界面の海水を、深海に沈めることで、沈めた水量の約3100倍の体積に相当する、海面温度より高い大気の熱量を取り去るのと、同様の効果が期待できると考えております。またこれは、自然界では起こり得ない海水の流れを発生させており、動力も必要としません。
これにより、周辺の海面からの蒸散量を減らすことで、豪雨や暴風(台風)等の気象災害を大きく低減することも期待できます。
しかしながら、これらが、期待通りの効果が得られたとしましても、地球の温暖化を解消する為には、極めて多くの装置を多くの海域に設置することが必要になります。従いまして、地球の温暖化の解消にご賛同頂ける、多くの公共団体、企業(海外、国内を問わず)の皆様のご協賛を、期待し歓迎致します。